台湾映画1位は『私の少女時代 Our Times』、中国映画1位は『さらば、わが愛 覇王別姫』。香港映画は人気投票と映画史的評価を踏まえ、名作5本を厳選します。
青春の余韻なら台湾、歴史と人間ドラマなら中国、アクションや都会の熱気なら香港。ランキングの数字だけでなく、作品の製作地域が重なる中華圏映画ならではの事情も含めて、初めての方にも分かりやすく整理しました。
中国・香港・台湾映画のおすすめは?まず結論とランキング基準
先に結論をまとめると、台湾映画の人気投票1位は『私の少女時代 Our Times』、中国映画1位は『さらば、わが愛 覇王別姫』です。
香港映画については、2026年7月4日更新の人気投票では『プロジェクトA』が1位。ただし本記事では、順位をそのまま転載するのではなく、映画史的な重要性やジャンルの広がりも考えて初心者にもすすめやすい5作品を選びました。みんなのランキング
まず、この記事で使うランキングの基準をはっきりさせておきましょう。
台湾映画は「みんなのランキング」の「台湾映画ランキング」を参照しています。2026年7月29日最終更新で、ランクイン35作品、参加者158人、投票数362票。1〜100点で作品を評価する方式です。みんなのランキング
中国映画も同サイトの「中国映画ランキング」を参照。2026年8月4日最終更新で、57作品、参加者188人、投票数364票となっています。ページ上では台湾・香港映画を対象外とするルールが示されています。みんなのランキング
一方、香港映画ランキングは2026年7月4日最終更新で、81作品、参加者88人、投票数393票です。1位は91.0点の『プロジェクトA』でした。みんなのランキング
選びたい気分 まず観たい作品 特徴
甘酸っぱい青春 台湾『私の少女時代 Our Times』 懐かしさと初恋の余韻
静かな家族映画 台湾『ヤンヤン 夏の想い出』 家族と人生を多面的に描く
重厚な歴史ドラマ 『さらば、わが愛 覇王別姫』 京劇と近現代史が交差
温かな親子ドラマ 中国『山の郵便配達』 父と息子の仕事と人生
爽快な香港アクション 香港『プロジェクトA』 スタントとコメディの融合
大人の恋愛映画 香港『花様年華』 言葉にしない感情と映像美
ここで大切なのが、「ランキングの分類=厳密な製作国」とは限らないことです。
中国本土、香港、台湾の映画人や企業は長く交流してきました。合作映画も多いため、同じ作品が「中国映画」「香港映画」の両方のランキングに入ることがあります。
実際、『さらば、わが愛 覇王別姫』は同サイトで中国映画ランキング1位である一方、香港映画ランキングにも3位で掲載されています。『ドランク・モンキー/酔拳』も中国映画ランキング8位、香港映画ランキング5位です。みんなのランキング+2みんなのランキング+2
ですから本記事では、「参照サイトではどのランキングに入っているか」と「映画史上どの地域と深く結びついているか」を分けて考えます。
これが中華圏映画を選ぶうえで、意外に大事なポイントです。
私自身、ランキングは映画の通知表というより、休日に食べたいものを選ぶメニュー表のようなものだと思っています。
「今日は何位を観るか」ではなく、「今日はどんな気分になりたいか」で選ぶと、映画はぐっと楽になります。
台湾映画名作ランキングTOP10|青春と家族、歴史を静かに描く
台湾映画ランキングでは、近年の青春恋愛映画と、台湾ニューシネマを代表する作品が同じTOP10に入っています。
2026年7月29日時点の順位・点数・評価人数は次の通りです。みんなのランキング+3みんなのランキング+3みんなのランキング+3
順位 作品 点数 評価人数
1位 私の少女時代 Our Times 89.9点 29人
2位 あの頃、君を追いかけた 88.8点 56人
3位 KANO 1931海の向こうの甲子園 84.8点 29人
4位 悲情城市 83.9点 21人
5位 藍色夏恋 83.2点 26人
6位 セデック・バレ 第一部 太陽旗 76.7点 16人
7位 冬冬の夏休み 76.7点 13人
8位 海角七号 君想う、国境の南 76.6点 24人
9位 言えない秘密 74.9点 25人
10位 ヤンヤン 夏の想い出 74.5点 6人
参加者158人という規模ですから、これを「台湾映画史の絶対順位」と受け取る必要はありません。
むしろ面白いのは、青春映画と映画史的名作が一つの表に同居していることです。
1位『私の少女時代 Our Times』は青春映画の入り口におすすめ
2015年の『私の少女時代 Our Times』は89.9点、29人の評価で1位です。仕事も恋もうまくいかない大人の女性が、1990年代の高校時代を振り返る青春恋愛映画です。みんなのランキング
明るいラブコメディとして入りやすい一方、作品の奥には「もう戻れない時間」への切なさがあります。
私は、40代や50代になって青春映画を観る面白さは、主人公と同じ年齢になることではなく、昔の自分と今の自分を同時に見ることにあると思います。
若いころの恋を描いているのに、大人になってからのほうが胸に残る。そんな不思議な一本です。
2位『あの頃、君を追いかけた』は届かなかった恋まで肯定する
2位は2011年の『あの頃、君を追いかけた』。88.8点、56人が評価し、ギデンズ・コーが監督を務めました。みんなのランキング
少年コートンと優等生チアイーの関係を通して描かれるのは、単なる恋の成就ではありません。
言えなかった言葉、届かなかった気持ち、若さゆえの失敗まで含めて、青春だったのだと振り返る映画です。
人生には、叶わなかったからこそ長く残る思いがあります。
この作品が支持されている理由は、恋愛の勝ち負けではなく、過ぎ去った時間そのものを愛おしく見せてくれるからではないでしょうか。
3位から6位には台湾の歴史が色濃く映る
3位『KANO 1931海の向こうの甲子園』は、日本統治時代の台湾から甲子園を目指した嘉義農林学校野球部を題材にしています。2014年作品で、マー・ジーシアン監督、ランキングでは84.8点でした。みんなのランキング
4位『悲情城市』はホウ・シャオシェン監督による1989年作品。第二次世界大戦後の台湾社会を、一つの家族を通して見つめます。
6位『セデック・バレ 第一部 太陽旗』も日本統治時代を背景にした作品です。
この3本を並べると、台湾映画の魅力は「おしゃれな青春映画」だけではないことがよく分かります。
歴史を政治家や年表だけで説明するのではなく、普通の人の家族、青春、仕事、生活へ引き寄せて描く。それが台湾映画の強さの一つです。
5位『藍色夏恋』と7位『冬冬の夏休み』に見る台湾映画らしい余白
『藍色夏恋』は83.2点、26人の評価。2002年の台湾・フランス合作による青春映画です。みんなのランキング
大きな事件を次々と起こすのではなく、自転車、学校、視線、沈黙といった小さなものから人物の感情を浮かび上がらせます。
7位『冬冬の夏休み』は1984年のホウ・シャオシェン監督作品です。
母の入院をきっかけに、兄妹が田舎の祖父母の家で過ごす夏を描きます。
ニューヨーク近代美術館(MoMA)はホウ・シャオシェンを台湾ニューシネマの先駆的人物と位置づけ、本作では長回しや距離を置いた固定的な構図によって田舎の日常が自然に展開すると紹介しています。The Museum of Modern Art
ここには台湾映画史の重要な特徴があります。
感情を大きな音楽や台詞で説明するのではなく、観客が画面の中から自分で見つける。その「余白」が、後の台湾映画にも大きな財産として残りました。
8位から10位は音楽・恋愛・家族とジャンルが広がる
8位『海角七号 君想う、国境の南』は、現代の台湾と過去の手紙を結び、恋愛や音楽、歴史を重ねる作品です。
9位『言えない秘密』はジェイ・チョウ監督・主演。ピアノと恋愛を軸にしながら、物語にはファンタジー的な仕掛けも用意されています。ランキングでは74.9点、25人の評価です。みんなのランキング
10位『ヤンヤン 夏の想い出』はエドワード・ヤン監督による2000年の台湾・日本合作映画。173分という長さの中で、家族一人ひとりの仕事、恋愛、親子関係、生と死を見つめます。みんなのランキング+1
2025年12月19日には4Kレストア版が日本公開されました。Pony Canyon News
子どものヤンヤンを中心に観ることもできれば、父親の迷いに共感することもできます。
観る人の年齢が変わると、主役まで変わって見える。 私は、そこがこの映画のすごさだと思います。
中国映画名作ランキングTOP10|分類上の注意も一緒に確認
中国映画ランキングでは、『さらば、わが愛 覇王別姫』『初恋のきた道』『山の郵便配達』などが上位です。
ただし、ここは評価者の指摘どおり、とても注意が必要なところです。
参照サイトは「台湾・香港映画を除く」としていますが、実際のTOP10には香港映画としても扱われる『ドランク・モンキー/酔拳』や、国際合作の『ラストエンペラー』などが含まれます。みんなのランキング+2みんなのランキング+2
そのため、以下はあくまで「参照サイト上の中国映画ランキング」として見てください。
順位 作品 点数 評価人数 分類上の注意
1位 さらば、わが愛 覇王別姫 90.8点 45人 香港映画ランキングにも掲載
2位 初恋のきた道 86.9点 32人 中国映画
3位 山の郵便配達 83.4点 19人 中国映画
4位 サンザシの樹の下で 83.1点 16人 中国映画
5位 少林寺 81.9点 13人 中国映画ランキング上の分類
6位 ラストエンペラー 80.5点 25人 伊・中国・英・仏合作
7位 レッドクリフ Part I 76.9点 20人 中華圏をまたぐスタッフ・出演者
8位 ドランク・モンキー/酔拳 76.7点 14人 香港映画ランキングにも掲載
9位 ベスト・キッド 75.4点 16人 中国を舞台にした国際的作品
10位 妻への家路 74.5点 7人 中国映画
順位・点数・評価人数は2026年8月4日更新の「みんなのランキング」に基づきます。みんなのランキング+8みんなのランキング+8みんなのランキング+8
1位『さらば、わが愛 覇王別姫』は中国近現代史と芸術を結ぶ
『さらば、わが愛 覇王別姫』は90.8点、45人の評価で中国映画ランキング1位です。みんなのランキング
チェン・カイコー監督が、京劇役者たちの人生と中国近現代史を重ねた1993年作品。第46回カンヌ国際映画祭で最高賞パルム・ドールを受賞しました。カンヌ公式記録でも1993年のパルム・ドール受賞作として確認できます。Festival de Cannes
2026年にはカンヌ・クラシックスで4K修復版が上映され、カンヌ公式サイトは本作を「パルム・ドールを受賞した最初の中国映画」と紹介しています。Festival de Cannes
この映画が重要なのは、歴史を背景画にしていないことです。
政権や社会が変わるたび、人間関係や芸術の価値まで揺さぶられる。歴史が個人の体へ直接入り込んでくる映画なのです。
なお、本作は香港映画ランキングにも入っています。ランキングの分類だけで「中国本土だけの映画」と決めつけないことが大切です。みんなのランキング
2位から4位はチャン・イーモウ作品と静かな人間ドラマ
2位『初恋のきた道』は86.9点、32人の評価。チャン・イーモウ監督、チャン・ツィイーの映画デビュー作です。みんなのランキング
農村の風景の中で、一人の女性の初恋をまっすぐに描きます。
大作だけが中国映画ではありません。
壮大な歴史の反対側に、こうした一人の人生を丁寧に見つめる映画がある。その振れ幅が中国映画の面白さです。
3位『山の郵便配達』は83.4点、19人の評価。フォ・ジェンチイ監督の1999年作品です。みんなのランキング
山間部で長く郵便を届けてきた父と、仕事を継ぐ息子が一緒に歩きます。
大声で家族愛を語るのではなく、仕事をする背中から親子関係を見せる。
会社員として長く働いてきた私には、この「仕事を通じて親を知る」という描き方がとても印象に残ります。
4位『サンザシの樹の下で』は83.1点、16人の評価。チャン・イーモウ監督が文化大革命期を背景に若者の恋を描いた作品です。みんなのランキング
恋愛映画ですが、自由に恋をすることさえ時代や社会から切り離せないところに重みがあります。
5位から10位を見ると「中国映画ランキング」の境界が見えてくる
5位『少林寺』は81.9点。リー・リンチェイ、のちのジェット・リーを世界へ広く知らしめた武術映画です。みんなのランキング
6位『ラストエンペラー』は80.5点で、参照ページでもイタリア、中国、イギリス、フランスの合作とされています。清朝最後の皇帝・溥儀の人生を描く歴史大作です。みんなのランキング
7位『レッドクリフ Part I』は76.9点。ジョン・ウー監督が赤壁の戦いを大規模なスペクタクルとして描きました。みんなのランキング
8位『ドランク・モンキー/酔拳』は76.7点。ユエン・ウーピン監督、ジャッキー・チェン主演で、中国映画ランキングと香港映画ランキングの双方に掲載されています。みんなのランキング+1
9位『ベスト・キッド』は75.4点、10位『妻への家路』は74.5点です。みんなのランキング+1
ここから分かるのは、映画を国境だけできれいに仕分ける難しさです。
監督、俳優、資金、撮影地、配給が国や地域をまたぐため、「中国映画とは何か」という問いには一つの答えだけがあるわけではありません。
私はむしろ、その境界の曖昧さを欠点ではなく中華圏映画の豊かさとして楽しみたいと思います。
香港映画の名作5選|人気投票と映画史の両方から選ぶ
香港映画には2026年7月4日更新の人気ランキングがあり、1位『プロジェクトA』、2位『花様年華』、3位『さらば、わが愛 覇王別姫』、4位『インファナル・アフェア』、5位『ドランク・モンキー/酔拳』となっています。みんなのランキング+2みんなのランキング+2
ただし参加者は88人です。
そこで本記事では、人気順位だけではなく、BFIなどで確認できる映画史上の位置づけ、ジャンルへの影響、初心者の入りやすさを重ねて5本を選びました。
プロジェクトA
まず観やすいのは1983年の『プロジェクトA』です。
香港映画人気ランキングでは91.0点、25人の評価で1位。ジャッキー・チェンが監督・主演を務めています。みんなのランキング
BFIも1980年代香港アクションの重要作として本作を挙げ、アクロバット、武術、危険なスタントを組み合わせた新しいアクション表現を評価しています。BFI
笑っていたはずなのに、次の瞬間には「そこから本当に飛ぶの?」と驚く。
アクションとコメディを別々の料理にせず、一つの皿に盛ってしまう勢いが香港映画らしい一本です。
花様年華
2000年のウォン・カーウァイ監督作『花様年華』は、香港映画人気ランキング2位です。みんなのランキング
さらにBFIの「Sight and Sound」2022年批評家投票では、世界映画史の第5位に選ばれています。BFIでは香港・フランス製作と記録されています。BFI+1
この作品の魅力は、恋愛映画なのに「愛している」と大きな声で語らないことです。
狭い廊下、すれ違う視線、食事を買いに出る時間。
何も起きていないような場面に、言えない気持ちがぎゅっと詰まっています。
若い恋の勢いではなく、大人が踏み越えない一線まで映画にする。そこに世界的な評価へつながった独自性があります。
恋する惑星
1994年の『恋する惑星』もウォン・カーウァイ監督作です。
香港の雑踏、ファストフード店、狭い部屋、夜の街を背景に、失恋や孤独を軽やかなリズムで描きます。
香港という都市は、ただの背景ではありません。
BFIも香港を、速度と人の流れが映画表現そのものを刺激してきた都市として紹介しています。BFI
人がたくさんいるのに寂しい。
忙しい都会で働いたことがある方なら、その感覚は国が違ってもどこか身近に感じるのではないでしょうか。
男たちの挽歌
1986年のジョン・ウー監督作『男たちの挽歌』は、香港アクション映画史を語るうえで外しにくい一本です。
BFIは、本作を「ヒロイック・ブラッドシェッド」と呼ばれる香港ガンアクションの大きな出発点と位置づけています。銃撃戦とメロドラマ、男たちの友情や義理を結びつけ、その表現は後のハリウッド作品にも影響を与えました。BFI+1
単に銃を撃つ映画ではありません。
激しいアクションの中心に「誰を信じるのか」「何を守るのか」という感情がある。
香港映画が世界へ残したものは、派手な技術だけではなく、アクションの中にも人間ドラマを置けるという発想だったのだと思います。
インファナル・アフェア
2002年の『インファナル・アフェア』は香港映画人気ランキング4位、82.6点、16人の評価です。アンドリュー・ラウとアラン・マックが監督しました。みんなのランキング
警察に潜入したマフィア側の男と、マフィアへ潜入した警察官。
互いに正体を知られれば人生が崩れるという緊張感が続く犯罪映画です。
BFIも、1980年代に発展した香港犯罪映画の流れを受け、2002年の『インファナル・アフェア』が香港映画を再び活性化させた重要作として紹介しています。BFI
ジャッキー・チェンの身体性、ジョン・ウーの銃撃戦、ウォン・カーウァイの都市感覚、そして『インファナル・アフェア』の犯罪サスペンス。
この幅の広さこそ、香港映画を一つのジャンルで説明できない理由でしょう。
台湾・中国・香港映画は何が違う?映画史から見る3つの魅力
大まかに整理すると、台湾は日常と記憶、中国は歴史と個人、香港はジャンル映画と都市のスピードに強みがあります。
もちろん例外はいくらでもありますが、初めて中華圏映画を選ぶときには便利な目印です。
台湾では1980年代に、ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンらによる台湾ニューシネマが登場しました。
MoMAは、この動きを台湾のアイデンティティーの模索と大胆な映画表現を結びつけた変革的な潮流と説明しています。ホウ作品では家族、成長、台湾の歴史といった題材が、日常の観察から描かれました。The Museum of Modern Art+1
だから台湾映画を観ると、事件より「時間」が記憶に残ることがあります。
夏の暑さ、家族との食卓、誰かが黙っている時間。そうした小さなものが、後からじわじわ効いてくるのです。
中国本土では、文化大革命後に登場したチェン・カイコーやチャン・イーモウらの世代が国際映画祭で大きな存在感を示しました。
『さらば、わが愛 覇王別姫』がカンヌ最高賞を得たことは、その象徴の一つです。Festival de Cannes
彼らの映画では、個人が歴史を外から見ているのではありません。
国家や社会の変化が、恋愛、芸術、家族、仕事まで揺らしていく。
「歴史の中に人がいる」のではなく、「人の中へ歴史が入ってくる」と考えると、中国映画の重さが少し分かりやすくなります。
香港映画はまた違います。
1980年代にはスタントや格闘、銃撃戦の演出が猛烈な勢いで進化し、香港独自のアクション表現が世界へ広がりました。
BFIはジョン・ウー作品に代表される「ヒロイック・ブラッドシェッド」がハリウッドのアクション演出にも影響を与えたと整理しています。BFI
香港の面白さは、外からの影響をそのまま受け入れるのではなく、ものすごい速度で自分たち流に作り変えてしまうことです。
だから私は、3地域をこんなふうに覚えています。
台湾は「余白を見る映画」、中国は「歴史の重さを見る映画」、香港は「映画そのものが走っているような勢いを楽しむ映画」。
この違いを知るだけでも、次の一本をかなり選びやすくなると思います。
中国・香港・台湾映画を今あらためて観る意味とは?
ここからは筆者としての私見です。
ランキングで古い作品を見ると、「今さら昔の映画を観る必要があるのかな」と感じる方もいるかもしれません。
けれど、中華圏映画では今まさに古い名作へ出会い直す機会が増えています。
『ヤンヤン 夏の想い出』は公開から四半世紀を経て4Kレストアされ、2025年12月19日に日本公開されました。ポニーキャニオンによれば、2000年作品で台湾・日本合作、上映時間は173分です。Pony Canyon News
さらにエドワード・ヤンの初長編『海辺の一日』も4Kレストアされ、2026年7月10日から日本で劇場公開されました。1983年製作、167分の台湾映画です。伏見ミリオン座・センチュリーシネマ+1
これは単に「古い作品をきれいにした」という話だけではありません。
映画館で観られなくなりかけた作品に、もう一度入口を作ることでもあります。
ランキングでは新作が有利になることがありますが、映画史では逆の現象も起きます。
公開当時より20年、30年たってから重要性が見えてくる映画があるのです。
『花様年華』が2022年の「Sight and Sound」批評家投票で世界5位まで上がったことは、その分かりやすい例でしょう。BFI
そして私自身、還暦を過ぎて昔の映画を観返すと、若いころとは目が向く場所が変わったと感じます。
昔は主人公の恋ばかり見ていたのに、今は父親の沈黙や母親の表情が気になる。
映画のフィルムは同じなのに、観ている自分が変わっているんですね。
だから私は、名作とは「一度観れば終わりの映画」ではなく、人生の途中で何度か出会い直せる映画なのだと思っています。
中国・香港・台湾映画には、その再会に耐えられる作品がたくさんあります。
知らない文化を学ぶためだけではありません。
『冬冬の夏休み』を観て、自分の子どものころの夏を思い出す。
『山の郵便配達』を観て、自分と親との距離を考える。
『恋する惑星』を観て、都会で一人だった夜を思い出す。
遠い土地の物語なのに、最後は自分の記憶へ戻ってくる。
それこそが、中華圏映画を今観るいちばん大きな面白さではないでしょうか。
まとめ|中国・香港・台湾映画ランキングは気分で選ぶのがおすすめ
台湾映画ランキング1位は『私の少女時代 Our Times』、中国映画ランキング1位は『さらば、わが愛 覇王別姫』でした。
台湾では『あの頃、君を追いかけた』『悲情城市』『冬冬の夏休み』『ヤンヤン 夏の想い出』など、青春、家族、歴史を静かに見つめる作品がそろっています。
中国映画では『さらば、わが愛 覇王別姫』『初恋のきた道』『山の郵便配達』『妻への家路』など、社会や歴史と個人の人生を重ねる作品が印象的です。
香港映画では、人気投票1位の『プロジェクトA』に加え、『花様年華』『恋する惑星』『男たちの挽歌』『インファナル・アフェア』などから入ると、アクション、恋愛、犯罪映画まで幅広い魅力を味わえます。
ただし、中華圏映画では作品の分類が一つの地域に収まらない場合があります。
『さらば、わが愛 覇王別姫』や『酔拳』のように複数の地域別ランキングへ入る作品もあるため、順位は「参照サイト上の分類」として理解し、合作や映画人の交流も含めて楽しむのがおすすめです。
迷ったら、まずは青春と静かな余韻なら台湾、歴史と人間ドラマなら中国、アクションと都市の熱気なら香港と覚えてみてください。
休日に温かい飲み物を用意して、一本だけじっくり観る。
そんな何気ない時間が、忙しい毎日の肩の力を少し抜いてくれるかもしれません。
よくある質問
台湾映画の名作ランキングで初心者におすすめなのは?
2026年7月29日更新の参照ランキング1位は『私の少女時代 Our Times』で、89.9点、29人の評価です。みんなのランキング
明るい青春映画から入りたいなら同作や『あの頃、君を追いかけた』、映画史にも触れたいなら『悲情城市』『冬冬の夏休み』『ヤンヤン 夏の想い出』がおすすめです。
中国映画ランキング1位は何ですか?
2026年8月4日更新の「みんなのランキング」では、『さらば、わが愛 覇王別姫』が90.8点、45人の評価で1位です。みんなのランキング
ただし同作は香港映画ランキングにも掲載されています。中華圏映画では合作や地域を越えた製作が多いため、「ランキング上の分類」と「厳密な製作地域」は分けて考えるのが安全です。
香港映画のおすすめを一作だけ選ぶなら?
気軽に楽しみたいなら『プロジェクトA』が入りやすいでしょう。2026年7月4日更新の香港映画人気ランキングでは91.0点で1位です。みんなのランキング
大人の恋愛映画なら『花様年華』、都会的な雰囲気なら『恋する惑星』、犯罪サスペンスなら『インファナル・アフェア』もおすすめです。
天水翔太(スイーツと映画を愛するのんびり副業ライター)
