映画『東京物語』あらすじ・みどころ・解説・感想

邦画

この記事では、1953年11月3日に公開された映画『東京物語』のあらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想をご紹介します。

映画『東京物語』の予告編

「東京物語」は、1953年11月3日に公開され、上京した老齢の両親と、家族たちの姿を描くことで、家族の絆や親と子、その先にある老いと死を通した人間の一生を冷徹とも言える視線で描いた物語です。

「ロー・ポジション」と呼ばれるカメラを固定して人物を撮る方法の「小津調」と、形容されていく独自の小野安次郎による演出で、家族の物語を丁寧に描いています。

映画『東京物語』のあらすじ(ネタバレなし)

尾道で暮らしていた周吉と妻のとみは、小学校教師である次女の京子に留守を頼み、東京へと出かけていきます。

夫妻は東京の下町で医院を開業していた長男である幸一の元へ泊めてもらうものの、東京見物に赴こうとした時に急患が入ることとなり、結局行くことができません。

その後、美容院を営んでいた志げの家に移りますが、志げも夫も多忙であり、両親はどこにも出かけられぬまま過ごしていました。

志げは、戦死した次男の妻の紀子に両親の面倒を頼むのでした。そこで、紀子は、わざわざ仕事の休みを取って、夫妻を東京の名所へと連れて行ったあと、夜は小さなアパートで精一杯のもてなしをしようとします。

映画『東京物語』の解説

小野安二郎は、1953年2月から野田高梧とともに、茅ヶ崎館で「東京物語」の構想を練り、4月8日から脚本執筆を行うと、5月28日には脱稿したと言います。

1953年11月3日に日本国内で公開が始まると、同年度のキネマ旬報ベストテンにおいて、2位にランキングされました。

配給収入は1億3165万円を記録し、1953年度の邦画配収ランキングにおいては第8位にランクインするなど、本作品は小野にとって成功作となりました。

また、1954年毎日映画コンクールにおいて、女優助演賞を、1958年サザーランド杯を、それぞれ受賞しています。

映画『東京物語』のみどころ

紀子ととみが親しく語り合ったり、飲みに行ったりと、それなりに東京を楽しんだあと、夫妻は皆に見送られて、帰路の列車へと乗り込みます。

しかし、とみが途中で体調を崩し、大阪で途中下車することになります。大阪には三男の敬三がおり、敬三の家に泊めてもらうことになるのでした。

体調が回復したとみと、とみの回復に安心した幸一は、いつの間にか子供たちが大人になり、それぞれの生活のために、自分たちに対して、優しくしてくれなかったことを嘆きつつも、自分たちの人生は良いものだったのかもしれないと、とみと語り合うのでした。

東京から尾道に帰って間もなく、とみが亡くなってしまいます。

妻も去り、葬儀が終わって、子どもたちも帰っていった部屋で、周吉は一人、静かな尾道の海を眺めます。周吉の背中は、何を私たちに語ろうとしているのでしょう。

映画『東京物語』の感想

子育てに明け暮れ、こんな日から早く解放されたいと願い、子どもの自立を祈りながら、いざ子どもが自立していく時、親なら誰でも喜びと寂しさを噛み締めるのかもしれません。

その感情が、最後の周吉の姿なのかなと思わせる作品でした。

映画『東京物語』の登場人物・キャスト

映画『東京物語』の登場人物・キャストを紹介します。

平山周吉:笠智衆
とみ:東山千栄子
紀子:原節子
金子志げ:杉村春子
平山幸一:山村聡

映画『東京物語』のスタッフ

映画『東京物語』のスタッフを紹介します。

監督:小津安二郎
脚本:野田高梧・小津安二郎
製作:山本武
撮影:厚田雄春
美術 : 浜田辰雄
録音:妹尾芳三郎
照明:高下逸男
音楽 : 斎藤高順