映画「 ドライブ・マイ・カー」あらすじ、出演者と感想

邦画

2021年の第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞を受賞し、パルム・ドールにもノミネートされた濱口竜介監督、西島秀俊主演の映画「ドライブ・マイ・カー」のあらすじと感想を述べます。

この映画は村上春樹の原作をもとに映画化したものですが、登場人物はほぼ踏襲していますが、内容は相当変わっているようです。

映画「ドライブ・マイ・カー」のあらすじと出演者

俳優であり舞台演出家として名を成している家福悠介(かふくゆうすけ・西島秀俊)の状況が最初に描かれています。悠介には音(おと・霧島れいか)という妻がいました。

二人には幼い娘がいましたが、幼少の頃亡くなってしまいます。

その後、悠介は舞台俳優及び舞台演出家としてだんだん成功していきます。妻の音は女優を辞めてしまいますが、脚本家として次第に成功を収めるようになっていきます。

表面上は彼らの生活は満ち足りたものとなっていました。悠介は音を愛していましたし、音も悠介を愛していました。しかしながら、本当の心の中は誰にも読めません。

悠介は家庭を守ることに一心で暮らしていました。しかし、そんな幸せも長くは続きませんでした。突然妻の音が病気で亡くなってしまうのです。

しかし、その日は音が珍しく悠介に「今日話したいことがあるから。」と告げた日でした。悠介は今の生活が壊れるのを恐れ、夜遅く家に帰りますが、その時には音は突然の病死で亡くなってしまった後でした。

悠介は広島国際演劇祭に演出家として登場、広島風景がロケ地に

二年後、悠介は広島国際演劇祭に演出家として招待されます。この演劇祭にはチェーホフの「ワーニャ伯父さん」が演出されることになっていました。

出演者は日本、台湾、フィリピン、韓国などからエントリーした俳優でオーディションを行って決めることになっていました。

そして、この演劇は多言語で構成されることがとてもユニークです。それぞれが自国語でセリフを語って劇を進行させていくという仕掛けです。従って台湾からの俳優は中国語で、中には韓国手話の俳優まで出ています。

俳優は多彩です。ワーニャ役を演じることになる高槻耕史(岡田将生)はかって妻の音が悠介に紹介したことのある青年です。そんなことから悠介は高槻と音との関係を疑っていました。

ドライブ・マイ・カーのいわれと運転手渡利みさき

最後に題名の「ドライブ・マイ・カー」のいわれを解説する必要があります。この演劇祭の演出家には以前、開催中に交通事故を起こして、トラブルになったことがあったようで、運転手をつけるのが決まりになっていました。

この運転手が渡利みさき(三浦透子)です。飾り気のない無口の女性です。悠介のサーブターボを悠介の宿から劇場まで、毎日1時間余りを運転する役目なのです。

最初は悠介はまっぴらごめんと拒否していましたが、運転が優れているため、採用することになりました。みさきは実は北海道出身で、流れ流れて広島で職を見つけることになったのです。みさきの運転の技量に秘密も徐々に解き明かされることになります。

演劇の練習は順調に仕上がりつつありましたが、途中で高槻が傷害事件を起こしたため、警察に捕まることになります。演劇祭を中止するか悠介がワーニャ役をやるか決断を迫られ、悠介は2日間の猶予の間に、みさきにあるところに連れて行くように求めます。

妻の音との関係、これまでの人生を振り返り、この度の中で悠介はどんな答えを見つけるのでしょう。また、みさきの過去も次第に明らかになっていきます。

映画「ドライブ・マイ・カー」の感想と登場する車

この映画は人生について考えさせられる映画です。人と人とが暮らしていく中でお互いに感情を確かめ合っていても、本当の心の中は誰も覗くことができないというのが一つのテーマになっているのではないでしょうか。

それでも人間はそれに甘んずることなく、自分の安心を得るために、関係を確かめ合って暮らしていくことになるのです。

しかし、別のアプローチもあるのです。敢えて、真実を突き止めようとしない。真実を知ってしまうことの恐ろしさに、その前で、あきらめてしまうこともあるのです。でも、それがどちらが幸せかはわからないのです。

悠介と音の夫婦の関係もこんなところで揺れ動いていたのかもしれません。よく、人生は失敗したことよりも、挑戦しなかったことを悔やむべきだという人生訓もありますが、真実を知ることの怖さにこのことが当てはまるかどうかはよくわかりません。

悠介も壊れてしまうのが恐ろしくて、音の真意を最後まで聞くことができませんでした、結果としてそのことが音との永遠の別れになってしまうのです。

もう一つのテーマは人生の生き方、終わり方をどのように考えるかということです。これは、この映画で題材となっているチェーホフの「ワーニャ伯父さん」のテーマも取り込んでいることです。

この戯曲を詳しく調べていませんが、戯曲の最期のところのテーマがこの物語のもう一つのテーマを物語っていると考えます。

「仕方がないわ。生きていかなきゃならない。・・・」という語りがこの映画のエンディングを語っているようです。日本人にはなかなか理解しにくい内容ですが、そんなところの内容が海外からの評価を高めているのではないでしょうか。

もう少し世俗的ですが、この映画のテーマとしてのサーブターボのマニュアルもですがとてもおしゃれでした。原作では黄色のサーブコンパーチブルでしたが、映画では赤のサーブターボに変更されています。サーブはご承知の方はスウェーデンの車ですが、独特の雰囲気を持ったマニア受けする車です。このモデルのマニュアル車ですから、やはりマニア受けする道具立てと言えるでしょう。

映画「 ドライブ・マイ・カー」あらすじと感想のまとめ

2021年カンヌ映画祭をはじめ数々の受賞をえた映画「ドライブ・マイ・カー」の紹介をしてきました。この映画は、派手なアクションも何もありませんが、人間の心の中のどうとらえていくべきか、人生の意義をどう考えるかなど考えさせられる内容でした。

特にチェーホフの「ワーニャ伯父さん」のテーマも借りて、より重層的な内容になっています。そんなところが評価されたような気がします。しかし、最後の場面をどのように理解したらよいのか少し戸惑う最後でした。