ミュージカル映画の名作1位は『雨に唄えば』、2位は『ラ・ラ・ランド』、3位は『サウンド・オブ・ミュージック』です。
今回は「初心者でも楽しみやすいか」を重視し、映画史での評価や歌と物語の一体感も点数化して、名作10本を選びました。順位の根拠まで分かるので、「最初の一本を失敗したくない」という方にも選びやすいランキングです。
ミュージカル映画の名作ランキングは?初心者向け10作品を採点
初めてミュージカル映画を見るなら、1位『雨に唄えば』を基本に、明るさ重視なら『グレイテスト・ショーマン』、恋愛なら『ラ・ラ・ランド』から選ぶのがおすすめです。
今回は単純な人気投票ではなく、「初心者向け」というタイトルに合わせて、見やすさの比重を高めました。
採点基準は次の4項目です。
- 初心者の見やすさ・入りやすさ:30点
- 映画史・批評面での評価:25点
- 歌・ダンスと物語の一体感:25点
- 現代での人気・再鑑賞しやすさ:20点
参考にしたのは、マイベスト「ミュージカル映画のおすすめ人気ランキング」と、映画メディアThe Playlistが2017年1月10日に公開した「The 50 Best Movie Musicals Of All Time」です。
マイベストの2024年9月21日更新版は、Filmarks、みんなのランキング、マイナビニュースなどの人気ランキングを参考に独自集計した全50作品で、1位『グレイテスト・ショーマン』、2位『美女と野獣』、3位『天使にラブ・ソングを…』、4位『レ・ミゼラブル』、5位『サウンド・オブ・ミュージック』となっています。マイベスト
一方、The Playlistでは1位『雨に唄えば』、2位『オール・ザット・ジャズ』、3位『シェルブールの雨傘』、4位『ウエスト・サイド物語』、5位『キャバレー』です。映画史や作品としての完成度を強く意識した顔ぶれだと分かります。The Playlist+4The Playlist+4The Playlist+4
そこで本記事では、二つの性格の違うランキングを参考にしつつ、「休日に初めて見る人が楽しめるか」という実用面を加えて順位を決めました。
順位 作品 初心者30 映画史25 一体感25 人気・再鑑賞20 合計
1位 雨に唄えば 28 25 24 19 96
2位 ラ・ラ・ランド 29 22 24 19 94
3位 サウンド・オブ・ミュージック 27 24 23 18 92
4位 ウエスト・サイド物語 24 25 24 17 90
5位 グレイテスト・ショーマン 30 18 22 19 89
6位 レ・ミゼラブル 22 23 25 18 88
7位 天使にラブ・ソングを… 30 17 21 19 87
8位 美女と野獣 29 18 22 17 86
9位 シェルブールの雨傘 19 25 25 16 85
10位 マンマ・ミーア! 30 14 21 19 84
2位『ラ・ラ・ランド』と3位『サウンド・オブ・ミュージック』の差は、初心者の入りやすさです。
『サウンド・オブ・ミュージック』は歴史的評価では上ですが、上映時間が長め。一方の『ラ・ラ・ランド』は現代的な映像と恋愛ドラマから入れるため、最初の一本としてわずかに上と判断しました。
こうして点数を出してみると、順位は「好き嫌い」だけで決めたものではないことが見えやすくなります。
もちろん映画はテストではありません。点数はあくまで作品選びの地図であって、最後に大切なのは「今夜の自分が何を見たいか」です。
1位〜5位のミュージカル映画名作|初心者がまず見るなら?
1位『雨に唄えば』96点|古典なのに驚くほど楽しい王道
『雨に唄えば』は1952年のアメリカ映画で、ジーン・ケリーとスタンリー・ドーネンが監督しました。
ジーン・ケリー、デビー・レイノルズ、ドナルド・オコナーらが出演し、カンヌ国際映画祭の公式情報では上映時間103分です。Festival de Cannes
舞台は、ハリウッドがサイレント映画から音声のあるトーキー映画へ移り変わる時代。
人気俳優ドンたちが新しい映画づくりに振り回される様子を、恋愛、コメディ、歌、ダンスで描いています。
本作の強みは、ミュージカルを知らなくても「映画業界コメディ」として楽しめるところです。
歌や踊りが始まる前から物語が面白いので、「突然歌い出す映画は苦手かもしれない」と心配している方でも入りやすいでしょう。
The Playlistでは50作品中1位。現在のRotten Tomatoesのミュージカル映画特集でも『雨に唄えば』が1位に置かれています。The Playlist+1
私が96点をつけた理由も、映画史上の重要性だけではありません。
70年以上前の映画なのに、「名作だから我慢して見る」という感じがほとんどないのです。
軽やかな笑いがあり、身体いっぱいに動くダンスがあり、映画づくりそのものへの愛情もある。
古い喫茶店で思いがけず素晴らしいプリンに出会ったような、「昔のものなのに、今食べてもおいしい」といううれしさがあります。
ミュージカル映画とは何が面白いジャンルなのかを一作で知りたいなら、まず『雨に唄えば』。これが今回の1位の理由です。
2位『ラ・ラ・ランド』94点|恋と夢のほろ苦さから入れる
『ラ・ラ・ランド』はデイミアン・チャゼル監督による2016年の作品で、日本では2017年2月24日に公開されました。
ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが主演し、女優を目指すミアと、自分のジャズクラブを持つ夢を追うセバスチャンの恋を描きます。マイベスト掲載情報では上映時間128分です。マイベスト
第89回アカデミー賞では、エマ・ストーンの主演女優賞、デイミアン・チャゼルの監督賞を含む6部門を受賞しました。オスカー.org
さらに2017年ゴールデングローブ賞では7部門にノミネートされ、7部門すべてを受賞しています。Golden Globes+1
The Playlistでも2017年のランキングで14位に選ばれました。公開されたばかりの作品が古典と並んで上位に入ったことからも、当時すでに高く評価されていたことが分かります。The Playlist
94点とした最大の理由は、「恋愛映画として入っていける」ことです。
ミュージカルの形式を理解してから見る必要はありません。夢を追う男女の物語を見ているうちに、自然と歌やダンスが感情の続きに見えてきます。
私は年齢を重ねてから見るほど、この映画の印象が少し変わるように感じます。
若い頃なら「二人はどうなるのだろう」と恋の行方を追いかけるでしょう。
でも40代、50代になると、「何かを選べば、選ばなかった人生も生まれる」という部分が胸に残ります。
甘いケーキの最後に少しだけビターなチョコレートが残るような後味です。
華やかな作品なのに、見終わったあと静かになれる。その余韻まで含めて2位にしました。
3位『サウンド・オブ・ミュージック』92点|家族で見られる映画史的名作
『サウンド・オブ・ミュージック』はロバート・ワイズ監督、ジュリー・アンドリュース主演の1965年作品です。
修道院で暮らしていたマリアが、オーストリアのファン・トラップ家で7人の子どもたちの家庭教師となり、家族と心を通わせていきます。
第38回アカデミー賞では10部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、編集賞、編曲賞、録音賞の5部門を受賞しました。オスカー.org
マイベストでは5位、The Playlistでは10位です。人気側と映画史側の両方で上位に入る、非常にバランスのよい名作といえます。マイベスト+1
上映時間は約174分と長いため、初心者項目では『ラ・ラ・ランド』より少し点を下げました。
ただし、長さを忘れさせる魅力があります。
子どもなら歌や風景を楽しめて、大人になると家族を守る父親やマリアの決断に目が向く。
見る年代で受け取り方が変わる作品は、長く付き合える映画です。
私も年齢を重ねるほど、「有名な歌がいっぱい出てくる映画」という印象から、「家族が一つになっていく物語」へと見え方が変わってきました。
一本の映画がこちらの人生に合わせて違う顔を見せてくれる。そこが本作の強さだと思います。
4位『ウエスト・サイド物語』90点|ダンスそのものがドラマになる
ここで選んだのは、1961年版『ウエスト・サイド物語』です。
ロバート・ワイズとジェローム・ロビンスが監督し、『ロミオとジュリエット』を下敷きに、ニューヨークで対立する若者たちと、その間に生まれる恋を描きます。
第34回アカデミー賞では11部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、助演男優賞、助演女優賞など10部門を受賞しました。オスカー.org
The Playlistでも4位です。The Playlist
初めて見ると、「歩いていた人たちが、なぜ急に踊るのだろう」と思うかもしれません。
ところが少し見ていると、足の運びや指の動き、集団のフォーメーションまでが、若者たちの警戒心や対立を表していることに気づきます。
歌やダンスが物語を止めるのではなく、歌やダンスそのものが物語を進めている。
ミュージカルという表現のすごさを、一段深く知りたい方にすすめたい作品です。
5位『グレイテスト・ショーマン』89点|初心者の入りやすさは満点
『グレイテスト・ショーマン』はマイケル・グレイシー監督による2017年のアメリカ映画で、日本では2018年2月16日に公開されました。
ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズらが出演し、P・T・バーナムに着想を得たショービジネスの物語です。マイベスト掲載情報では上映時間105分です。マイベスト
マイベストの2024年9月21日更新ランキングでは1位となっています。マイベスト
今回、初心者の見やすさは30点満点にしました。
曲の力が強く、展開も分かりやすく、映像にも勢いがあります。
一方、映画史的な評価では古典作品ほど長い蓄積がないため、総合順位では5位にしました。
ここで注意したいのは、The Playlistの2017年1月10日公開ランキングに本作が入っていないことです。
これは評価が低いからではありません。『グレイテスト・ショーマン』自体が2017年後半の作品なので、その時点ではランキング対象になりようがありません。The Playlistの記事公開日は2017年1月10日です。The Playlist
ランキングを見るときは、順位だけでなく「いつ作られたランキングなのか」まで見ることが大切だと分かる例ですね。
個人的には、仕事でくたびれて「今日は難しい映画はちょっと無理だな」という夜に選びたい一本です。
繊細な小菓子というより、生クリームもフルーツもたっぷりのホールケーキ。
元気をもらうためのエンターテインメントとして、とても頼もしい映画です。
6位〜10位のおすすめ名作|感動・笑い・恋で選ぶなら?
6位『レ・ミゼラブル』88点|大きな感情を歌で味わう
2012年版『レ・ミゼラブル』はトム・フーパー監督作で、日本では2012年12月21日に公開されました。
ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイらが出演し、ビクトル・ユーゴーの小説を原作に、ジャン・バルジャンの人生を描きます。上映時間は157分です。マイベスト
本作は、会話に相当する部分まで歌で進んでいく場面が多くあります。
そのため「ミュージカル初心者への軽さ」という点では少し点を下げましたが、歌とドラマの一体感は25点満点です。
喜びだけでなく、怒り、後悔、祈り、赦しまで歌になる。
普通の言葉では整理しきれない大きな感情を、音楽でそのまま受け止めるような作品です。
明るい気分転換というより、休日の夜に腰を据えて映画の世界へどっぷり入りたい日に向いています。
7位『天使にラブ・ソングを…』87点|「ミュージカルが苦手」な人にもすすめやすい
『天使にラブ・ソングを…』は1992年のアメリカ映画で、エミール・アルドリーノが監督しました。
ウーピー・ゴールドバーグ演じるクラブ歌手が事件を目撃し、身を隠すため修道院で暮らすことになるコメディです。
日本では1993年4月17日に公開され、マイベスト掲載情報では上映時間100分。同ランキングでは3位となっています。マイベスト+1
初心者項目は30点満点です。
なぜなら、歌を抜きにしてもコメディとして入りやすいからです。
堅い雰囲気の修道院へ自由奔放な主人公が入り、周囲を少しずつ変えていく。
その物語を楽しんでいるうちに音楽が自然に大きくなっていくので、「ミュージカルは急に歌い出すから苦手」という方にもすすめやすいでしょう。
疲れた日に笑えて、見終わるころには少し元気になれる。
そういう映画は、ランキング以上に生活の中で出番が多いものです。
8位『美女と野獣』86点|ファンタジーからミュージカルへ入れる
今回8位に選んだのは、エマ・ワトソン主演の2017年実写版『美女と野獣』です。
ビル・コンドン監督作で、日本公開は2017年4月21日。エマ・ワトソン、ダン・スティーブンス、エマ・トンプソンらが出演し、上映時間は129分です。マイベストでは2位となっています。マイベスト+1
童話として物語を知っている人が多いため、初心者でも入りやすいのが大きな強みです。
一方で、映画史を語るなら1991年のアニメーション版も外せません。
The Playlistで7位に選ばれている『美女と野獣』は2017年版ではなく、1991年のアニメーション版です。The Playlist
1991年版は第64回アカデミー賞で、長編アニメーションとして初めて作品賞にノミネートされ、作曲賞と歌曲賞を受賞しました。オスカー.org
この二つは、同じ物語を見比べる楽しさがあります。
アニメ版では線と色と音楽の一体感を、実写版では俳優、美術、衣装を含めた華やかな世界を味わえる。
初心者なら2017年版から入り、気に入ったら1991年版へ戻る、という見方もおすすめです。
9位『シェルブールの雨傘』85点|すべての会話が歌になる異色の名作
『シェルブールの雨傘』はジャック・ドゥミ監督による1964年のフランス映画です。
カトリーヌ・ドヌーヴらが出演し、若い男女の恋と別れを、鮮やかな色彩の中で描きます。
最大の特徴は、普通の会話まで音楽に乗せて歌われることです。
カンヌ国際映画祭の公式記事も、台詞がすべて歌われ、ミシェル・ルグランが音楽を担当した独創的な作品として紹介しています。1964年のカンヌ国際映画祭では最高賞パルムドールを受賞しました。Festival de Cannes
The Playlistでは3位です。The Playlist
映画史と歌・物語の一体感は25点満点にしましたが、初心者項目は19点にしました。
普通の会話まで歌う形式は、慣れない人には少し不思議に感じられるからです。
ただ、その壁を越えると面白い世界が待っています。
明るい色なのに、物語はほろ苦い。
きれいな包装紙を開けたら、思っていたより大人っぽい味のお菓子が入っていたような映画です。
「ミュージカルは明るくて楽しいもの」という印象を持っている方ほど、驚かされる一本だと思います。
10位『マンマ・ミーア!』84点|休日午後に気楽に楽しめる
『マンマ・ミーア!』はABBAの楽曲で構成された舞台ミュージカルを映画化した2008年作品で、日本では2009年1月30日に公開されました。
フィリダ・ロイド監督、メリル・ストリープ、ピアース・ブロスナン、コリン・ファースらが出演し、上映時間は108分です。マイベスト
結婚を控えたソフィが、自分の父親かもしれない母親の昔の恋人3人を結婚式へ招待したことから騒動が始まります。
初心者項目は30点満点。
青い海、親しみやすい音楽、恋愛と家族のコメディが中心なので、身構える必要がありません。
私はこういう映画も立派な「名作」だと思っています。
重厚さや映画史上の革新性だけが名作の条件ではありません。
疲れた休日に「あの映画、また見ようかな」と思い出せることも、映画が長く愛される大切な理由だからです。
温かい飲み物と小さなスイーツを用意して、のんびり見るのがよく似合います。
ミュージカル映画ランキングの順位が違うのはなぜ?
サイトによって順位が違う最大の理由は、選考基準、集計方法、ランキングを作った時期が違うからです。
今回比べたマイベストとThe Playlistは、その違いがとても分かりやすい例です。
マイベストの2024年9月21日更新版では、『グレイテスト・ショーマン』1位、『美女と野獣』2位、『天使にラブ・ソングを…』3位、『レ・ミゼラブル』4位、『サウンド・オブ・ミュージック』5位。『ラ・ラ・ランド』は8位、『雨に唄えば』は11位です。マイベスト+1
一方、The Playlistの2017年版は『雨に唄えば』1位、『オール・ザット・ジャズ』2位、『シェルブールの雨傘』3位、『ウエスト・サイド物語』4位、『キャバレー』5位です。The Playlist+4The Playlist+4The Playlist+4
ここから分かるのは、ランキングには少なくとも二つの読み方があることです。
人気寄りのランキングを見ると、「今の観客が入りやすい作品」が分かります。
映画史や批評を重視したランキングを見ると、「ミュージカルというジャンルを形作ってきた作品」が見えてきます。
さらに、発表年も重要です。
The Playlistの記事は2017年1月10日公開なので、同年後半に登場した『グレイテスト・ショーマン』はそもそも候補にできません。The Playlist
ですから、「有名ランキングに入っていないから評価が低い」と考えるのは早いのです。
私はランキングを見るとき、1位の作品名より先に、誰が、いつ、どんな方法で選んだのかを見るようにしています。
これは映画選びだけでなく、あらゆる「おすすめランキング」を読むときに役立つ見方だと思います。
『ボヘミアン・ラプソディ』を入れなかったのはなぜ?
もう一つ、順位の違いを生むのが「ミュージカル映画をどう定義するか」です。
マイベストのランキングでは『ボヘミアン・ラプソディ』が10位に入っています。マイベスト
しかし本記事では、物語の中で登場人物が歌や踊りによって感情やドラマを進める作品を中心にしました。
Rotten Tomatoesの「100 Best Movie Musicals of All Time」でも、登場人物が歌い踊る作品と、音楽を演奏すること自体が中心の作品を区別し、『ボヘミアン・ラプソディ』や2018年版『アリー/スター誕生』などを対象外としています。ロッテン・トマト 編集部
もちろん、音楽映画としての魅力を否定する意味ではありません。
「ミュージカル映画を見たい」と検索してきた方が、音楽伝記映画と混同しないように、今回は線引きを明確にしました。
このジャンルの定義を確認するだけでも、「思っていた映画と違った」という失敗はかなり減らせます。
初心者はどのミュージカル映画を選ぶ?気分別のおすすめと私の考察
初めてなら「名作度」だけでなく、その日の気分とミュージカル度の強さで選ぶのがおすすめです。
今回の10本を気分で分けると、かなり選びやすくなります。
- とにかく明るい気分になりたい:『グレイテスト・ショーマン』『天使にラブ・ソングを…』
- 恋愛の余韻を味わいたい:『ラ・ラ・ランド』『シェルブールの雨傘』
- 家族で見たい:『サウンド・オブ・ミュージック』『美女と野獣』
- 大きな感動に浸りたい:『レ・ミゼラブル』
- ミュージカル映画の王道を知りたい:『雨に唄えば』
- ダンス表現をしっかり味わいたい:『ウエスト・サイド物語』
- 気楽な休日映画がいい:『マンマ・ミーア!』
私見ですが、長く残るミュージカル映画には共通点があります。
それは、歌を外したときに、作品の感情まで大きく変わってしまうことです。
『雨に唄えば』では、喜びや恋が身体の動きになります。
『ウエスト・サイド物語』では、若者たちの対立までダンスになります。
『レ・ミゼラブル』では、言葉だけでは受け止めきれない後悔や祈りが歌になります。
『シェルブールの雨傘』に至っては、日常会話さえ旋律の中にあります。
つまり名作ミュージカルの歌は、物語の途中で披露される「余興」ではないのです。
登場人物が普通のセリフでは伝えきれないものを、歌と身体と映像で語る。
ここがミュージカル映画の面白さだと私は感じます。
もう一つ、映画ならではの見せ方も大切です。
舞台には舞台の魅力がありますが、映画にはカメラ、編集、ロケーション、美術、照明があります。
『サウンド・オブ・ミュージック』の広大な風景も、『ラ・ラ・ランド』のロサンゼルスの街並みも、映画だからこそ生きる表現です。
そして私が年齢を重ねて強く感じるようになったのが、名作は見る人の年齢によって主役が少し変わるということです。
若い頃は主人公の恋ばかり追っていた映画なのに、何十年か後に見返すと、父親や母親、脇にいる年長者の決断が妙に気になる。
映画自体は同じなのに、見るこちら側の人生が変わったため、別の場面が心に入ってくるのです。
私は、これこそ古いミュージカル映画が今も残っている理由の一つではないかと考えています。
昔の作品を「昔の価値観だから」と遠ざけるのは簡単です。
でも『雨に唄えば』を2020年代に見て笑えたり、『サウンド・オブ・ミュージック』を見て家族について考えたりできるなら、その映画はまだ私たちと会話を続けています。
一方で、初心者が必ず映画史上の最高傑作から見なければならないわけでもありません。
金曜の夜に仕事から帰ってきて、頭がもう働かない。
そんな日に『オール・ザット・ジャズ』の歴史的重要性を勉強するより、『天使にラブ・ソングを…』で笑うほうが自分に合うこともあります。
映画は宿題ではありません。
好きなお菓子を棚から一つ選ぶように、「今日は甘いもの」「今日は少し苦いもの」と決めてもいい。
ランキングは映画の成績表ではなく、今の自分に合う一本まで連れていってくれる案内板。
今回、初心者向けの配点を30点まで高めたのも、その考え方からです。
まとめ|ミュージカル映画の名作は初心者なら見やすさも大切
ミュージカル映画の名作ランキングは、1位『雨に唄えば』96点、2位『ラ・ラ・ランド』94点、3位『サウンド・オブ・ミュージック』92点という結果にしました。
映画史で高く評価されている作品だけでなく、初心者でも物語に入りやすいか、歌とドラマが自然につながっているか、また見たいと思えるかまで100点満点で採点しています。
王道を一本だけ見るなら『雨に唄えば』。
明るい気分になりたいなら『グレイテスト・ショーマン』や『天使にラブ・ソングを…』。
恋と人生のほろ苦さを味わいたいなら『ラ・ラ・ランド』。
家族でゆっくり見るなら『サウンド・オブ・ミュージック』や『美女と野獣』が選びやすいでしょう。
名作の価値は、順位だけでは決まりません。
今日の自分が映画に何を求めているかによって、その夜の「1位」は変わります。
お気に入りの飲み物や甘いものを用意して、歌と映像に身を任せる。
忙しい一週間の終わりに、そんな映画時間があるだけでも、心の肩こりが少しほぐれるように私は感じます。
よくある質問
ミュージカル映画の名作を初めて見るなら何がおすすめ?
一作だけ選ぶなら『雨に唄えば』がおすすめです。
1952年作品ですが、コメディと恋愛の物語が分かりやすく、上映時間も103分。The PlaylistとRotten Tomatoesのミュージカル映画企画でも1位に評価されています。Festival de Cannes+2The Playlist+2
「古い映画は少し不安」という方なら、『ラ・ラ・ランド』『グレイテスト・ショーマン』『天使にラブ・ソングを…』から入るのもよいでしょう。
昔のミュージカル映画でおすすめの名作は?
王道なら『雨に唄えば』、家族ドラマも楽しみたいなら『サウンド・オブ・ミュージック』、ダンス表現を味わうなら1961年版『ウエスト・サイド物語』がおすすめです。
『ウエスト・サイド物語』は第34回アカデミー賞で11部門にノミネートされ10部門を受賞、『サウンド・オブ・ミュージック』も第38回で作品賞を含む5部門を受賞しています。オスカー.org+1
家族で見やすいミュージカル映画は?
『サウンド・オブ・ミュージック』『美女と野獣』が特に選びやすいでしょう。
『サウンド・オブ・ミュージック』は子どもなら歌や風景、大人なら家族や時代背景に目を向けられます。ファンタジーが好きなら2017年実写版『美女と野獣』も入りやすい作品です。
参考にした主な資料
- マイベスト「ミュージカル映画のおすすめ人気ランキング」2024年9月21日更新
- The Playlist「The 50 Best Movie Musicals Of All Time」2017年1月10日公開
- Academy of Motion Picture Arts and Sciences「The 89th Academy Awards」「The 38th Academy Awards」「The 34th Academy Awards」「The 64th Academy Awards」
- Festival de Cannes「SINGIN’ IN THE RAIN」「The Umbrellas of Cherbourg turn 60」
- Golden Globes「La La Land」
- Rotten Tomatoes Editorial「100 Best Movie Musicals of All Time」
外部ランキングは選考基準や更新時期が異なるため、本記事では順位をそのまま転載せず、初心者の見やすさを含む独自4基準で再評価しました。配信状況などは変更される場合があるため、視聴前に各サービスの最新情報をご確認ください。
天水翔太(あまみずしょうた)
スイーツと映画を愛するのんびり副業ライター
