映画『華氏451(1966)』あらすじ・みどころ・解説・感想

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この記事では、映画『華氏451(1966)』のあらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想をご紹介します。

映画『華氏451(1966)』の予告編

レイ・ブラッドベリの同名小説を原作として、フランソワ・トリュフォー監督が1966年に製作したイギリスのSF長編映画です。ちなみに、華氏451というのは、紙が燃え始める温度(摂氏233度くらい)のこと。

書物を読むことを禁じられた近未来を舞台に描かれていて、書物を焼く役人だった主人公が徐々に本の価値に気付き、悩み葛藤する様が描かれています。

映画『華氏451(1966)』のあらすじ(ネタバレなし)

舞台は、本を読むことを禁じられた近未来的世界。本を焼く役人ファイアマンの職に就く主人公モンターグが、ある日、クラリスと名乗る少女に出会います。クラリスは、実は内緒で本を読んでいました。

クラリスの影響で、モンターグも本を読み始め、徐々にその魅力に憑りつかれ始めます。一方、モンターグの妻リンダはテレビに釘付けで無気力。モンターグは妻との生活に虚しさを感じていました。

そんな中、夫が本を読んでいることを知ったリンダが通報し、リンダは家を出て行きます。そして、ファイアマンがモンターグの家にある本を焼こうとするのですが……。

映画『華氏451(1966)』の解説

まず、ブラッドベリがこの映画の原作小説を書いたのは、第二次世界大戦後のことでした。戦争が終わり、平和が戻り、大衆による消費生活が始まります。様々な娯楽が生まれ、特にテレビの誕生は、それの風潮を加速させました。

そんな中で古くからある書物の存在価値が人々の心から薄れてしまうようになり、そんな様を風刺的に描いたのが本作の原作なのです。そのため、この映画にも同様のメッセージ性が込められていると考えられます。

しかし、フランソワ・トリュフォー監督は、本来SFものをあまり好まない性格のため、この映画でもSF的要素を極力排し、人間の心にスポットを当てるよう努めて製作されました。

映画『華氏451(1966)』のみどころ

書物が禁じられた世界でも、ひっそりと隠れて本を楽しむ人々が実は存在しています。

彼等は万が一本が焼かれても大丈夫なように、「○○さんはAという物語を、△△さんはBという物語を暗記するようお願いします」と、本の愛好家たちの集まりでそれぞれが役割分担して書物を暗記するのです。

そのシーンがとても印象的です。ちなみにこのシーンは、映画オリジナルで、レイ・ブラッドベリの原作小説にはこういう場面は描かれていません。

原作と違ってどうしてこういうシーンを取り入れたのか、そしてラストもまた原作小説とは違うので、原作小説と映画の両方を楽しめるという点でも見どころがあります。

映画『華氏451(1966)』の感想

私は、子供の頃から本を読むのが好きなので、書物を読むのを禁じられた世界でなんて生きていけないと思います。だから、きっと反政府側に回って秘密の本の愛好家のグループに入るのでしょう。

でも、そうすると自分は一体何の物語を暗記するよう頼まれるのかなと想像し、少しわくわくしたりしてしまいました。

映画『華氏451(1966)』の登場人物・キャスト

映画『華氏451(1966)』の登場人物・キャストを紹介します。

ガイ・モンターグ:オスカー・ウェルナー
リンダ / クラリス(一人二役):ジュリー・クリスティー
キャプテン:シリル・キューザック
ファビアン:アントン・ディフリング
ヘンリ:アレックス・スコット

映画『華氏451(1966)』のスタッフ

映画『華氏451(1966)』のスタッフを紹介します。

監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー
ジャン=ルイ・リシャール
製作:ルイス・M・アレン
音楽:バーナード・ハーマン
撮影:ニコラス・ローグ
編集:トム・ノーブル