映画『ドクトル・ジバゴ』はなぜ不朽の名作?あらすじ・見どころをネタバレなしで徹底解説!

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「映画史に残る、壮大なラブストーリーが見たい」
「音楽が美しいと評判の、昔の名作映画に触れてみたい」

もしあなたが、そんな風に心を揺さぶる映画を探しているなら、1965年に公開された『ドクトル・ジバゴ』は、絶対に外せない一作です。

ロシア革命という激動の時代を舞台に、医師であり詩人でもある主人公ユーリ・ジバゴの数奇な運命と、彼が愛した二人の女性との切ない愛を描いたこの物語は、公開から半世紀以上経った今もなお、世界中の人々を魅了し続けています。

しかし、上映時間が3時間以上と聞いて、「長くて難しそう…」と躊躇してしまう方も多いかもしれません。

ご安心ください!この記事では、これから『ドクトル・ジバゴ』を観てみようと考えているあなたのために、

  • 複雑な人間関係が分かる、ネタバレなしのあらすじ
  • なぜこの映画が「名作」と呼ばれるのか、その見どころ
  • 物語を彩る、あまりにも有名な「ラーラのテーマ」の秘密

などを、分かりやすく丁寧に解説していきます。この記事を読めば、あなたもきっと、この壮大な愛の物語の世界に飛び込んでみたくなるはずです。

この記事で分かること

    • 映画『ドクトル・ジバゴ』のネタバレなしのあらすじと登場人物
    • 数々のアカデミー賞を受賞した、作品の歴史的評価
    • 映画の魅力を最大限に引き出す3つの見どころ(映像美・音楽・人間ドラマ)

* 時代背景を知ると、物語がもっと面白くなるポイント

  • なぜ3時間超えでも観る価値があるのか、その理由

 

映画『ドクトル・ジバゴ』とは?作品の基本情報

まずは、この映画がどのような作品なのか、基本的な情報から見ていきましょう。

公開年 1965年(アメリカ)、1966年(日本)
監督 デヴィッド・リーン
原作 ボリス・パステルナーク(小説『ドクトル・ジバゴ』)
音楽 モーリス・ジャール
上映時間 約197分(3時間17分)
主な受賞歴 アカデミー賞5部門受賞(脚色賞、撮影賞など)、ゴールデングローブ賞5部門受賞(作品賞、主演男優賞など)

監督は『アラビアのロレンス』や『戦場にかける橋』でも知られる巨匠デヴィッド・リーン。そして、原作はソ連政府から発禁処分を受け、著者であるパステルナークがノーベル文学賞の辞退を余儀なくされたという、いわくつきの小説です。

公開当初は、その長すぎる上映時間に批判的な意見もありましたが、物語の持つ深い人間愛や、ロシアの壮大な自然を捉えた映像美が次第に評価され、今では映画史に燦然と輝く不朽の名作として位置づけられています。

映画『ドクトル・ジバゴ』のあらすじ(ネタバレなし)

 

物語の舞台は、20世紀初頭の帝政末期からロシア革命を経て、ソビエト連邦が成立する激動の時代。

主人公のユーリ・ジバゴは、幼くして両親を亡くし、モスクワの裕福な親戚グロムイコ家に引き取られます。母が遺した唯一の形見である三角形の弦楽器「バラライカ」を大切にしながら成長した彼は、やがて医師の道を志す傍ら、詩人としてもその才能を開花させていきます。そして、共に育った育ての親の娘、心優しいトーニャと婚約し、順風満帆な人生を歩み始めるのでした。

一方、美しい仕立て屋の娘ラーラは、母の愛人である好色な有力者コマロフスキーの庇護のもと、息の詰まるような日々を送っていました。彼女には、革命を志す情熱的な青年パーシャという恋人がいましたが、コマロフスキーとの腐れ縁を断ち切ることができません。

ある雪の夜。ユーリとトーニャの華やかな婚約パーティーで、運命の歯車が大きく動き出します。コマロフスキーへの憎しみから、パーティーに乗り込んできたラーラが発砲事件を起こしたのです。この事件が、本来交わるはずのなかったユーリとラーラの、最初の出会いでした。

やがて第一次世界大戦が勃発。軍医として戦地に赴いたユーリは、そこで看護師として働くラーラと運命的な再会を果たします。過酷な戦場で助け合い、心を通わせるうちに、二人は互いに抗いがたいほど強く惹かれ合っていくのですが…。

妻トーニャへの愛情と、ラーラへの燃え上がる想いの間で苦悩するユーリ。そして、革命の嵐が吹き荒れる時代の波は、彼らの運命を容赦なく翻弄していきます。

映画史に残る3つの見どころ

3時間という長さを感じさせない、この映画の圧倒的な魅力はどこにあるのでしょうか。ここでは、特に注目してほしい3つのポイントをご紹介します。

見どころ1:息をのむほど美しい「映像美」

デヴィッド・リーン監督の真骨頂ともいえるのが、その圧倒的な映像美です。広大な雪原を疾走する蒸気機関車、凍てついた郊外の屋敷「ワルイキノ」、そして春の訪れを告げる一面の黄色い水仙の花畑…。

ロシアの厳しくも美しい雄大な自然が、登場人物たちの心情や、時代の大きなうねりと重なり合い、まるで一枚の絵画のようにスクリーンに焼き付けられています。CGのない時代に、これほど壮大で詩的な映像を撮ったのかと、ただただ驚かされるばかりです。登場人物たちが纏う衣装の美しさも必見です。

見どころ2:あまりにも有名な「ラーラのテーマ」

この映画を語る上で絶対に欠かせないのが、モーリス・ジャールが手掛けた音楽です。特に、メインテーマである「ラーラのテーマ」は、映画を観たことがない人でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

主人公ユーリの母の形見である「バラライカ」の哀愁を帯びた音色で奏でられるこのメロディは、ユーリとラーラの切ない愛を象徴し、映画の様々なシーンで繰り返し流れます。この甘くも悲しい旋律が、壮大な物語に深い感動と余韻を与えています。

見どころ3:時代の波に翻弄される「究極の愛の形」

本作は、ユーリ、妻トーニャ、愛人ラーラの三角関係を描いた不倫の物語、と一言で片づけることはできません。ユーリは妻トーニャを心から愛し、家族を大切に思っています。しかし、魂の片割れともいえるラーラと出会ってしまったことで、彼の心は激しく引き裂かれます。

戦争や革命という、個人の力ではどうすることもできない大きな運命の中で、愛する人を守ろうと必死にもがき、それでもすれ違ってしまう登場人物たちの姿は、観る者の胸を強く打ちます。誰が正しくて、誰が間違っているのか。そんな単純な善悪では割り切れない、人間の愛の深さ、弱さ、そして気高さを描き切った、究極の人間ドラマなのです。

主な登場人物とキャスト

物語を彩る魅力的な登場人物たちをご紹介します。

  • ユーリ・ジバゴ(演:オマー・シャリフ):主人公。心優しき医師であり、繊細な魂を持つ詩人。
  • ラーラ・アンティポヴァ(演:ジュリー・クリスティ):ユーリの運命の女性。情熱的で、困難に屈しない強さを持つ。
  • トーニャ・グロムイコ(演:ジェラルディン・チャップリン):ユーリの貞淑な妻。喜劇王チャップリンの実の娘です。
  • パーシャ・アンティポフ/ストレルニコフ(演:トム・コートネイ):ラーラの夫。理想に燃える革命家。
  • イエブグラフ・ジバゴ(演:アレック・ギネス):ユーリの腹違いの兄。物語の語り部でもある重要な役どころ。

まとめ:なぜ『ドクトル・ジバゴ』は今も観る価値があるのか?

3時間を超える壮大な物語『ドクトル・ジバゴ』。その長い時間の中には、恋愛、歴史、戦争、家族、そして芸術と、人生におけるあらゆる要素が濃密に詰め込まれています。

激動の時代に翻弄されながらも、愛を貫き、詩を紡ぎ、懸命に生きようとした一人の男の生涯は、きっとあなたの心に深い感動と、忘れられない何かを残してくれるはずです。

「最近、心が動かされるような映画に出会っていないな…」と感じているなら、ぜひこの不朽の名作の扉を開いてみてください。美しい映像と音楽に身を委ねれば、そこには3時間という時間を忘れさせるほどの、壮大な感動が待っています。