映画『ベニスに死す』あらすじ・みどころ・解説・感想

洋画

この記事では、1971年10月2日に公開された映画『ベニスに死す』のあらすじ(ネタばれナシ)・みどころ・解説・感想をご紹介します。

映画『ベニスに死す』の予告編

主人公はアッシェンバッハは年老いた作曲家で旅行者としてベニスを訪れています。水の都として名高いベニスですが、アッシェンバッハの心は浮かない様子です。

一人で旅をしているアッシェンバッハはあるとき、家族で旅行中の少年タジオと出会いました。タジオは絶世の美少年でポーランド貴族の息子です。

芸術家としてアッシェンバッハはタジオの美しさに強く惹かれると同時に、そんな自分に戸惑うことになります。

映画『ベニスに死す』のあらすじ(ネタバレなし)

主人公アッシェンバッハは年老いた作曲家です。過去に音楽家として名声を手に入れた彼はベニスの高級ホテルに滞在しています。

しかしゴンドラの浮かぶ水路をはじめとする風光明媚な名所もアッシェンバッハの癒しにはなっていません。

そんなアッシェンバッハの心に変化が訪れます。ある日アッシェンバッハは、家族で旅行中のタジオという少年と出会います。

タジオは美の極致ともいえるほどの美貌を持つ少年で、ポーランド貴族の息子です。

美しいだけでなく聡明そうにみえますが、ポーランド語がわからないアッシェンバッハはタジオと言葉を交わすことができず、ただただタジオをみつめることになります。

みずからをもどかしく思うアッシェンバッハですがタジオに惹かれる気持ちはおさまらず、そんな自分に戸惑い悩みます。

そして地元民は観光客に隠そうとしてますが、どうやらベニスでは危険な疫病が流行しているようでした。

映画『ベニスに死す』の解説

文豪トーマス・マンの同名タイトルの小説をルキノ・ヴィスコンティが監督した耽美的名作映画の金字塔で、第24回カンヌ国際映画祭25周年記念賞受賞作品です。

大人の男性が少年に惹かれていくという同性愛的要素の強い作品ですが、「観光地での疫病」という側面もサブテーマとなっており、昨今でもさまざまな面から観賞できる作品です。

絶世の美少年タジオ役はスウェーデンの俳優ビョルン・アンドレセンが演じており、映画公開当時ビョルン・アンドレセンの美貌は日本でも大変に話題になりました。

また、作中で流れるマーラーの交響曲第5番の第4楽章「アダージェット」がこの映画の世界観ととてもよくあっています。

映画『ベニスに死す』のみどころ

タジオ役を演じるビョルン・アンドレセンの圧倒的な美貌を前にいわゆる「老いらくの恋」しかも相手は少年、しかも言葉が通じないので、ただみつめるだけの恋…といった鑑賞者によって「せつない」「自分にはよくわからない世界」「なんだかシュールにさえ思える」と様々な感想がでてくると思います。

それこそがこの映画の魅力であり、個性であり、多くの映画ファンたちにとって何十年もたっても忘れられない映画になっている理由だと思います。

タジオの若さと美貌に強く惹かれるアッシェンバッハは原作小説では音楽家ではなく小説家なのですが、映画では音楽家に変えることによって、ますます映画本編で流れる音楽とのかかわりあいがよくなり、音楽面でも名作になっています。

映画『ベニスに死す』の感想

とにかくタジオ役を演じたビョルン・アンドレセンの美貌が素晴らしい映画です。

ストーリーも音楽も素晴らしいのですが、主人公アッシェンバッハはタジオの美しさに惹かれ、年老いた自分がこんなにも少年に夢中なってしまうなんて……と文学的に悩む話なので、タジオが美形でないと物語自体も成立しなくなってしまいます。

その点ビョルン・アンドレセンはみごとにタジオにぴったりの雰囲気をだしていました。

映画『ベニスに死す』の登場人物・キャスト

映画『ベニスに死す』の登場人物・キャストを紹介します。

アッシェンバッハ:ダーク・ボガード
タジオ:ビョルン・アンドレセン
タジオの母:シルヴァーナ・マンガーノ
ホテル支配人:ロモロ・ヴァリ
アッシェンバッハ夫人:マリサ・ベレンソン

映画『ベニスに死す』のスタッフ

映画『ベニスに死す』のスタッフを紹介します。

監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:ルキーノ・ヴィスコンティ、ニコラ・バダルッコ
原作:トーマス・マン
音楽:グスタフ・マーラー